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前ページ次ページゼロのペルソナ リコード 虚無魔法“記録”から目覚めたとき、誰も喋ることができなかった。 時はジョゼフがトリステインに火石を落とし、それがルイズのディスペルによって打ち消された後。 場所はトリステインの王城のある一室。 そこに集まっていたのは王女アンリエッタ、枢機卿マザリーニ、ガリア新王を称するタバサ、ルイズとキュルケ、彼女らの使い魔陽介、完二、クマ、そしてイザベラもいた。 9人はリコードにより、トリスタニアを襲撃したヴァリヤーグの槍の記憶を見た。 人間が恐れたやまないエルフたちを次々と餌食にしていく嘘のような、そして凄惨な光景。 エルフたちを襲う光景の中にはルイズをさらおうとした巨大な火竜と、王都を襲った巨大な金属ゴーレムの姿もあった。 しかもそれらは1体ではない。数十、もしかしたら数百かそれ以上の数がいたのだ。 それから銀色の鏡のようなものを通りジョゼフの使い魔となったことも知る。 「おめーらが今、リコードで見たバケモノどもがブリミルの力なのさ。ブルミルはむかしその力で人間の住む世界を統一した」 部屋の中にいる9人のどの人間のものでもない声が響く。 それは完二の背中にある剣から発せられている。 デルフリンガーは前回、王女たちとの話し合いの場に武器は持ち込めないために参加できなかったが、本人たっての希望で参加している。 自分はブリミルに作られた剣だと言って。 「ゴーレムみたいなのはヨルムンガンド、亜人をヴァリヤーグ、それに巨大種の火竜。それぞれをブリミルはガンダールヴ、ミョズニトニルン、ヴィンダールヴと呼んだもんさ。つってもブリミルにみんなまとめてエルフたちの住む土地の東に行かされたけどな」 話を聞いていた中で、比較的落ち着きを取り戻していたタバサは尋ねる。 「どうしてそんなことを?」 「そりゃ、オメエ、ブリミルが死んでコントロールを失った使い魔たちが人間を襲わねえようにするためさ。だから使い魔たちの住む場所を、人間の住む国より東にあるエルフの土地の更に東に置いた。そうしとけばエルフたちが壁になってくれっだろ」 それはこの世界で生きてきた人間にとっては衝撃的なことであった。今の今まで恐るべき、そして憎むべき敵とも思い、実際に何度も戦火を交えてきたエルフたちは人間を怪物から守ってくれていたのであった。エルフたちは自衛のために戦ってきただけだとしても。 「つってもエルフたちも限界なんだろうな。ジョゼフがエルフと繋がってるみてえだが、エルフが虚無の担い手と接触するって言うならまず使い魔たちをどこか別の場所にやってもらおうっていう魂胆なんだろうよ」 今までの話からジョゼフが虚無の担い手であると推察はできたものの、初めて明言されたアンリエッタとマザリーニも戸惑う。もっともそれ以外の、ルイズを除く全員はそのことについてちゃんと話を聞いていなかったのだが。 「ジョゼフ王は虚無の継承者なのですか……?」 「ま、たぶんまちがいねーだろ。それより俺はどこか別の場所にやってもらおうって部分に驚いて欲しかったんだけどな」 「どこか別の場所……。まさか我々の国々にですか!?」 思案したのちに思いついたアンリエッタの言葉が響くとともに緊張が走る。 もしあれだけの怪物が人間たちの世界に放たれればどのような惨事になるか想像もできない。 何せ一人で人間10人以上の戦力になるといわれるエルフたちが一方的な虐殺を受けるほどのバケモノだ。 たとえ全ての国の軍事力が結集しても勝てるかどうかわからない。 「そうだろうな」 「ですが使い魔を呼び出せるのは一人一体のはずでは?」 マザリーニの質問は魔法使いにとっての常識中の常識である。たとえ命令することが出来ても呼び出せないならば意味はない。 「正当な虚無の使い手なら特別に3体、一種につき一体呼べんだけどな……。 ま、それでも足りねーよな。 しっかしそこはさすがブリミルというか、自身の力を引き継ぐ者が現れたときにちゃんと使い魔を呼び出せるように大規模な召喚のゲートを開ける場所を用意してんのさ」 「ど、どこなのよ?」 イザベラは焦りから身を乗り出す。先に抑えることが出来れば使い魔の軍団を呼び出すことはできないはず。 「聖地だ」 聖地とはブリミル教にとってもっとも重要な土地とされる場所である。それは果たして使い魔の召喚の場所であったのだ。 この世界で育った人間たちには常識が壊れていくような音が聞こえた。 「つっても場所は、人間とエルフの住む国境近くにあるって以外俺も知らねーんだけどな。 エルフたちはシャイターンの門って呼んでるらしいが、門って言ってるだけあっちの方が正確かもしれねー。 あれは使い魔を呼び出すための門みてーなもんだし」 聖地はエルフたちが現在領有していると言われている。 言われているというのはブリミル教が聖地はどこにあるかを知らないためだ。どこにあるかわからないがエルフたちの所有している土地を奪い返すことなど不可能である。 6000年も続く戦いの中でエルフたちと戦って得た土地など微々たるもの。それどころか反攻で、奪われた土地のほうが多いだろう。 そして人間たちが攻撃しても、エルフたちが人間を追い出す程度に止めていたのは正反対の場所に使い魔たちがおり、それらが後患の憂いとなっていたからなのかもしれない。 「勝算は?」 マザリーニがデルフリンガーに真摯な瞳で尋ねる。 実質的宰相とも言われる枢機卿が真剣に頼みごとをする姿は滑稽といえるかも知れないが、彼もそしてこの場にいる全員が固唾を飲んで始祖の作った剣の言葉を待つ。 「ルイズだ。ルイズはもともとそのために虚無の力に目覚めたんだからな」 言われた当の本人は、覚悟していたようにその言葉を受け止める。 「ブリミルもな、虚無の力がとんでもねえ悪人に渡ったら、って心配したんだよ。 虚無の魔法を使うために1つの秘宝と1つの指輪。 使い魔たちを呼び出すのに、一種の使い魔につき一個、つまり3つの指輪が必要にと厳重な制限をかけてもまだ心配だった。 だから虚無の力を分けた。つまりルイズ、お前さんはカウンターなのさ」 場の視線はルイズに注がれる。 「わかってた……っていうとちょっと違うけどその話を聞いて納得したわ。わたしはあいつを敵だと感じたわ」 「だろーな。だが、問題は使い魔だった。 たとえ同じ虚無の力を持っても使い魔の軍団がいる以上、その対抗する担い手に勝ち目はねえからな。 なにせあいつらはこの世界で最強の存在だ。だからこの世界の他のどんな幻獣を呼び出しても勝てるはずがねえ。 だからブリミルは自分も知らねえ、虚無の4種めの使い魔を作った」 不思議なことを言うとみな眉をひそめた。 「デルフ、それってどういうこと?ブリミルは4体の使い魔を率いたって言われてるはずよ」 「じゃあキュルケ、その4番目の使い魔の名前わかるか?」 キュルケは首を振った。尋ねるように視線を向けてもみな同じようだ。 始祖が4体の使い魔を引き連れたというのはよく知られた話であり、少し書物を引けばガンダールヴ、ミョズニトニルン、ヴィンダールヴの名はすぐに知れる。 だが4番目の使い魔の名を知っている者はこの場には、それどころかこの世界にいない。 「そりゃそーだ。ブリミルが率いたのは4番目の使い魔なんていねーんだからな。 ブリミルは正当な虚無の担い手に対抗するために生まれる担い手の召喚の扉に細工をしたのさ。 扉が異世界で開くようにな。それで呼び出されたのが4種めの使い魔だ。」 今まで少し話についていけなくなっていた陽介、完二、クマが話に注意を引かれる。自分たちが呼び出された原因というのは始祖という人物だったのだ。 「な、なんでそんなことを?」 「虚無の使い魔はこの世界最強だ。だからこの世界でどんな使い魔を呼び出しても対抗すらできない。 なら、異世界から強いヤツを呼び出してソイツに戦ってもらえばいいとブリミルは考えたのさ」 全員が押し黙った。 沈黙の中、答えを返された陽介は言った。 「ブリミルさんテキトー過ぎじゃね?」 ルイズは伝説の始祖をないがしろにしたことを言う陽介を睨んだが、それだけで何も言わない。ルイズも意識したにしろ無意識にしろ陽介の言ったことを思ったからだ。他の全員も同様だ。 デルフリンガーは笑っている。 「確かにそのとおりでえ。しかもどーいうわけか、娘っこの使い魔だけじゃなく、そこのねーちゃんとちびっこの使い魔までそうしちまったってわけだ。 ジョゼフが一回で3体の使い魔を呼ぶように娘っこも3体呼んじまったんだろうな。それも不完全で、他の魔法使いの召喚に割り込む形で」 ルイズが驚いたように目を少し見開き、それからうつむいたのをキュルケは見逃さなかった。 「今、ジョゼフは姿を消してるそうじゃねえか」 「確定した情報ではないが、ガリアは現在混乱状態にあります。おそらく王が姿を消したように推測されますが……」 「あいつは門に行って使い魔を呼ぼうとしてるんだろうよ。あいつはもう3つのルビーがあるしな」 「ロマリアを攻めたのも、始祖の時代から伝わる指輪を手に入れるためなのですか……?」 「それ以外ないと思うぜ」 重い沈黙が流れる。 イザベラは目を伏せてスカートを強く握る。タバサは手をイザベラの手にそっと重ねる。 沈黙を切り裂いたのはアンリエッタの力強い声だった。 「次にジョゼフ王……いえ、もう王ではないですね。 ジョゼフが攻めてくるときは恐ろしい使い魔を連れてくるでしょう。 わたしたちは戦わなければいけません。どれほど絶望的であろうとも」 それから三人の使い魔に姿勢を向ける。 「あなたたちは別の世界から来たといいます。きっとそうなのでしょう。 この世界はあなたたちの世界ではありませんが、始祖ブリミルのご導きで出会えました。ぜひともお力添えをお願いします」 アンリエッタは深々と頭を下げる。 「ちょっ、頭さげるとかやめてください!」 彼女の行動に陽介は慌てた。 アンリエッタは顔を上げた。 「協力してくださるのですか?」 異世界から呼び出された3人は顔を見合わせる。 「実を言うとこのために呼び出されたとか言われてもよくわんないし、たぶんそれじゃあ命かけて戦おうなんて思わないっす」 それは言うまでもなく、彼らと同じ立場に立たされた者なら誰もがそういうだろう。しかし陽介の言葉はそこで終わらない。 「でもこの世界に来て一ヶ月程度だけど、仲間が出来た。大切な仲間が。そいつらをほっとくなんてできることじゃねえ」 陽介はタバサの肩に手を置いた。彼女は彼の顔を見上げた。じっと見つめてくる少女に笑うことで答える。 「オレもだ。世話になったやつもいる。ダチがアブねえってのに知らん顔なんて男じゃねえ」 「クマもこの世界の人を守りたい。クマはみんな大好きだから」 それぞれの主は使い魔の言葉に感銘を受けたようだ。 アンリエッタは全員の顔を見回してから言った。 「戦いは苛烈なものになるかもしれません。それでもこの世界を守りましょう」 全員が強く頷く。 ハルケギニアの権力者たちがグラン・トロワの一室に集まっているとき、その宮殿の庭にある噴水の外円に腰かけている二つの姿があった。 その一つは丸みをおびていて大きい。 「最近ちょっと暑くなってるけど、夜は涼しいわね」 時刻はすでに深夜であり、噴水の水面には美しい双月が映し出されている。 「そうクマね……」 キュルケは隣に腰かけているきぐるみ姿のクマを見る。 球型の体で細い噴水の縁に腰かける様子は危うい。前から押したら抵抗することもなく水面に後頭部からダイブだろう。 だがそれよりも気になるのはクマの様子だ。 「何か悩みごとがあるの、クマ?」 クマの様子は眼に見えて混乱を見せた。あたふたと動き、バランスをくずして水辺に落ちそうなのが心配だ。 「べ、別になんでもないクマよ!」 「あら、わたしに隠しごと?」 「むっ……」 しばらく黙って後、クマは観念した。 「この間、デルフが言ってたことを考えていたクマ」 「不安になったの?」 「そーなんだけど、たぶんキュルケチャンとは別のことクマ」 「どういうことよ?」 「デルフは強い人を呼び出すって言ってたクマ」 「あなた人なの?未だによくわからんないんだけど」 「ガク」 クマはおおげさに前のめりに倒れるフリをする。 「もう、キュルケチャン!イジワルはやめて欲しいクマ!今クマ真剣な話してるクマよ!?」 「ごめんなさい」 イジワルだけってわけじゃないんだけど。それは口に出さず謝る。もっともクマのどこかコミカルな動きに少し笑いながらだが。 「だから、クマは強いから呼びだされただけなんじゃないかって……。 クマはきっと何か理由があってキュルケちゃんに呼び出されたんだと思ってた。でもクマじゃなくたって強ければ誰でもいいんじゃないかって……」 じっと真面目に話を聞いていたキュルケが口を開いた。 「あなたって本当にバカね」 「ななななんですと!?」 立ち上がってキュルケはクマを正面に回って、見据える 「バカって言ったのよ。えい」 つんと軽くクマの体を押す。 「あ、あわわわわ」 腕を振りながらなんとかクマは噴水への落下を防いだ。 「な、ナニするクマ」 「だってあなたがあんまりにもバカだから」 「だからクマのどこがバカだっていーんですか!?」 「今からたっぷり教えてあげるわ」 「なんだかカンビなヒビキ…」 「みんなも来たしね」 「えっ?」 キュルケはクマの向こう側、噴水の向こう側へと片手を高く上げて振っている。 クマも噴水の縁から降りて振り返るとたしかにそこには4人の人物がいた。 ルイズと完二、タバサと陽介だ。 「あんたたちこんな夜中に何してるのよ?」 「あら、ずいぶんな言い方ねルイズ。お話が終わるのを待ってたのよ。 ずいぶん長い時間かかってたみたいだけどどうだった?」 「協力を取り付けられた」 「そう良かったじゃない」 ルイズはそんなことはないという風にオーバーリアクションで首を振る。 「みんな質問が多すぎるのよ。虚無の魔法使いだからって何でもわかるわけじゃないのよ!?」 よほど質問詰めにされたのであろう。おそらく喋らせたら朝まで愚痴をこぼすかもしれない。 「そんなことより聞いてよ、クマったらさっき何て言ったと思う?」 「そんなこと!?」「キュルケチャン!?」という二つの制止の声は無視する。 「この子ったら、強い使い魔が呼び出されるなら別に自分じゃなくてもよかったんじゃないのかって、偶然呼び出されたんじゃないかって悩んでたのよ?」 「はあ?んだソリャ、イミわかんねえ」 言葉の通り、完二はなぜそれが悩みの種になるのか理解できない様子だ。 「い、イミわからんて……」 「お前はよくどーでもいいことで悩むよな」 「どーでもいい!?」 クマは陽介の切捨てる言葉に驚愕の声を上げる 「どーでもいいだろーが。別に俺らが呼び出された理由なんて。 どんな理由で俺たちがこの世界に来てもこの世界での体験したことが嘘になるわけでもねー」 「それはそークマ……」 「よーするにお前がこの世界に来てよかったかどうかだろ?」 陽介はクマを片目をつぶってみて来る。 「俺はよかったと思うぜ。タバサに召喚されて」 タバサが自分の使い魔に顔を向ける。 「ヨースケ……」 呼ばれた使い魔はへへっと照れくさそうする。 しかしタバサは親友キュルケを指差し、言った。 「でも、サビエラ村では彼女に呼ばれたかったと言ってた」 「えっ、アレ、そんなこと言ってたっけ?つーかよく覚えてましたね、タバサさん?」 突然、吸血鬼退治を行った村のことを言われてあわてる。 たしかに油断しきった魔法使いのフリをするためにお酒を飲んでいたときにポロっと何か言った記憶が…… 「しょーじきなトコロ、おんなじご主人様にするならクマみたいにボンッキュ……」 一字一句違わぬ言葉をタバサは淡々と紡ぐ。 まぎれもなく自分が言った言葉に記憶が想起されて陽介も焦る。 「わーっ!!ちょっ、マジやめて!つーかもしかして怒ってる?根に持っちゃってる系?」 陽介は自身より小さな少女に必死に言い訳を考え、刺激された記憶中枢からそれより昔のことを思い出す。 たしか召喚されて次の日の朝にタバサに召喚されて良かったと言ったはず。 「あっ、でもホラ。それより前にルイズよりタバサのほうがいいって言ったぜ?」 「それは床で食べさせようとしなかったというだけ」 ルイズも慌てた。なにせこの二人の主従が言っているのはまさに自分のことだからだ。 「む、昔の話じゃない!今はさすがにそんなことしようとしないわよ!」 完二が来た次の日、ルイズは彼を床で食べさせようとした。 その結果として完二が怒ってどこかへ行ってしまったりしたが、あとで自分と一緒に食べようと言ったはずだ。 もっともその後の完二の失言のためにその言葉は撤回されて、なんだかんだで彼は厨房で平民たちと共に食事をとるのを日課にしている。 慌てる二人と、落ちついて言葉数少なく反論するタバサたちを脇にクマが言う。 「クマは…ヨースケやカンジみたいな活躍してないクマ」 「何人もあなたの魔法で助けたじゃない」 「そーだぜクマ。ルイズがボヤっとして惚れ薬なんて飲みやがって、あの時は……」 「ちょっとあの時の話はやめなさいよ!あーもう、なんなのよ今日は!」 タバサや陽介に昔の話をしないように釘を刺しながらしっかりと自分の話は聞いていた。 完二はしまったと頭をかき、ルイズはぎゃいぎゃいと文句を言っている。 タバサと陽介、完二とルイズがそれぞれ白熱しているなか、クマは傍らに立つ自分の主を見る。彼女の目は優しい。 「キュルケチャンはクマが使い魔でよかったクマか?」 「当たり前じゃない。わたしにとって最高の使い魔よ」 その言葉を聞き、クマは感極まり泣き始め、抱きついた。 「おーよよよ、クマ、キュルケチャンの使い魔でよかったクマ!」 「ほらほら泣かない」 使い魔の肩というか背中らへんをぽんぽん叩いてやる。 「だからルイズも」 「今度は何よ?」 完二に文句を言っていたルイズがどうせまたろくでもないことだろうと思ってきっとキュルケをみる。 「わたしの使い魔があんたのせいで変わったからって巻き込んだとか思わなくていいのよ?」 「なっ——」 不意を打たれた、そういう顔をする。おそらくルイズも思うところがあったのであろう。 だがキュルケに言わせるなら何も気にすることではない。 それはタバサも同じようだ。 「気にしないで。ヨースケはわたしにとって最高の使い魔だから」 「タバサ…!」 気にかけていたことを二人にフォローされて、少し戸惑いながらルイズは虚勢を張った。 「ふ、ふん当たり前よ。むしろ感謝して欲しいくらいだわ!」 「いや、感謝はちげーだろ」 言い過ぎた感のある言葉に使い魔の冷静なツッコミが入る。 ルイズの顔は赤くし、キュルケや陽介、そしてクマが笑う。 「わ、笑うじゃないわよ!」 「む、ムリよ。あなたたちのコンビも息ぴったりなんだもの……」 さらに使い魔二人の笑い声が大きくなる。 「あ、今、タバサも笑ったでしょ!」 「笑ってない」 「うそ!今クスって……」 「笑っていない」 どうやら意地でも認めないということをルイズは悟る。 「もういいわよ……。そういえばタバサ、アンドバリの指輪返してもらったけどいいのよね?」 タバサはこくりと頷いた。 アンドバリの指輪はかつてウェールズを操ったレコンキスタにあったと思われていたものであり、タバサたちが入城を果たしたときにジョゼフの寝室にあったものだ。 レコンキスタにもジョゼフの影があったのであろう。 「水の精霊に返すって言ったけどとりあえず戦いが終わってからになりそう」 「みんなでラグドリアン湖に行ったことも、なんだか懐かしいわね。2、3週間くらいしか経ってないはずなのに」 「近くにいたけど俺らは別だったんだよな」 陽介とタバサはラグドリアン湖の畔にオルレアン公宅、つまりタバサの実家を訪れていたが、ルイズたちと同行したわけではなかった。 「あのときはギーシュとかモン……なんだっけか?まあいいや、モンモンも一緒にいたな」 「ん、誰だ、それ?」 「ほら、アレよ。カンジが来てすぐに食堂でつるし上げてたのと、その彼女」 「へー」 ん、何でそんなやつらと一緒に行ってたんだ?という陽介の質問は無視してルイズが言う。 「今度は6人で行けたなら、いいのに……」 ルイズは手の中にある指輪を見ながらポツリと呟いた。 「いいんじゃなくて、やればいいじゃない?」 「そーだぜ」 「クマもサンセークマ」 6人で指輪を返しにラグドリアン湖へ行く。それは誰にも魅力的な提案に見えた。 しかしこの約束が果たされる日は来ることはない。 その次の日、ヴェルサルテイル宮殿でガリア新王、シャルロット・エレーヌ・オルレアンそしてアンリエッタ・ド・トリステインの戴冠が行われた。 二人の戴冠式は同時に行われたのだった。 本来、戴冠はロマリア教皇が執り行うものである。しかし彼女たちは互いに冠を授けあった。 教皇が空位の場合や、来訪できない場合は戴冠は教皇の代理人が行うのが慣例であったが、あえて二人はこの選択肢を選んだ。 それはトリステインとガリアの強い結束を示すだけでなく、6000年前から続いてきた世界の変わりつつあることを示していたのかもしれない。 審判の日は近い。 前ページ次ページゼロのペルソナ
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LV 名前 物 火 氷 雷 風 光 闇 力 魔 耐 速 運 初期スキル 取得スキル 備考 59 アヌビス - - - - - 無 - 38 41 37 37 31 ハマオンマカラカーンムドオン ポイズンアロー(60)マスタードボム(61)メギドラ(62)マハンマオン(64)ハマ成功率UP(65) 67 トランペッター - - 吸 反 - 反 無 40 47 39 45 37 メギドラジオダイン電撃ハイブースタ マハラクカジャ(68)勝利の息吹(69)メギドラオン(70)ランダマイザ(73)ヒートライザ(74) ヒランヤスプレッド継承不可スキル:ランダマイザヒートライザ 72 ミカエル 耐 無 弱 無 45 42 43 48 45 空間殺法メギドラハマオン メギドラオン(74)マハンマオン(75)闇反射(76)天軍の剣(79) 76 サタン 反 弱 反 45 60 47 40 43 メギドラオンマハラギダイン 大治療促進(77)大気功(78)光からの大生還(80)漆黒の蛇(81)疾風無効(82) 継承不可スキル:漆黒の蛇 83 メタトロン 無 反 弱 54 55 53 46 48 マハンマオン天軍の剣 メギドラオン(86)氷結反射(87)電撃反射(88)火炎反射(89) 90 アルダー 耐 無 無 62 52 64 41 58 イノセントタックゴッドハンド メギドラオン(91)気絶防御(92)防御の心得(93)メディアラハン(94)大天使の加護(95)物理無効(96) 特殊合体? 93 ルシファー 耐 - - - - 弱 無 62 69 61 52 51 ブフダインブレイブザッパーコンセントレイト 氷結ハイブースタ(94)魔術の素養(95)光反射(96)電撃吸収(98)勝利の雄たけび(99) コミュ解禁ペルソナヒランヤスプレッド
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ペルソナ・シャッター・レイヤー2(アニメ) 永続魔法 (1):相手フィールドのカードは相手フィールドのカードの効果を受けない。 永続 罠
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妖魔 LV22 ヤヌス LV22 ヤヌス 「初期」 HP(生命力)+80 MP(魔力)+200 STR(力)+15 VIT(耐久力)+10 TEC(技術力)+25 AGL(素早さ)+25 LUK(運)+50 MDF(魔法防御力)+5 MAK(魔法威力)+44 「同調」 HP(生命力)+100 MP(魔力)+300 STR(力)+30 VIT(耐久力)+20 TEC(技術力)+50 AGL(素早さ)+50 LUK(運)+80 MDF(魔法防御力)+8 MAK(魔法威力)+44 「最終覚醒」HP(生命力)+150 MP(魔力)+450 STR(力)+45 VIT(耐久力)+30 TEC(技術力)+70 AGL(素早さ)+80 LUK(運)+100 MDF(魔法防御力)+12 MAK(魔法威力)+66 <装着相性> 全員と最高相性 虚実を察知する(言動だけでなく、行動や表情などからも察知可能) <ペルソナを装着するだけで使える能力> 鏡の自分 性格が反転する(どう反転するかはプレイヤーにお任せ)。もう一度使えば戻る。 MP消費無し <ペルソナ降臨で使える能力> 終わりへの扉 敵全体に即死攻撃、ただし成功率は低め。 消費MP30 始まりの扉 味方全体の行動成功率を30%アップする。効果は1ターン(または一回) 消費MP30 マカラカーン 1ターンの間、敵の魔法攻撃をすべて反射する。 消費MP 50
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未投下 前へ 目次へ戻る 次へ ---北海上空--- イヴ「雷撃よ、『ジオンガ』!」 イヴの目の前に現れる魔法陣。そこから電撃が直線状に放たれる。俺はそれをシールドによって防ぐ。 アダム「終いや!!」 後方からの斬撃。直感で体をそらし、何とか避ける。 イヴ「『ジオンガ』!!」 俺「しまっ・・・」 回避した態勢から戻る前に、俺へと電撃が飛んでくる。防御が間に合わない。 もうだめか・・・そんな思考が過り、俺は瞳を閉じる。だが、電撃が俺へと届くことはなかった。 俺「え・・・?」 芳佳「大丈夫ですか!俺さん!!」 瞳を開くと、目の前には赤色のシールドを展開した宮藤の姿があった。 俺「宮藤さん・・・なんで・・・」 芳佳「坂本さんの代わりに来ました。この女の人の相手は、私がします。」 俺「ダメっス!!戻ってください!!」 芳佳「ここまで来たら、もう逃げられないです。私も戦います。」 俺「でも・・・」 芳佳「でももだっても無いです。俺さんはそっちの男の人をお願いします。」 そう言って宮藤はイヴのいる方へストライカーを駆る。 アダム「どうすんのや、あの子?」 俺「・・・宮藤さんは強いっス。今は、彼女を信じます。」 アダム「そうかい。ほんなら、タイマン張るか?」 俺「アンタは・・・あのイヴって人、助けに行かなくていいんスか?」 アダム「イヴは負けへん。絶対にな。」 俺(・・・とりあえず、早いとこコイツを退けて、宮藤さんを助けなきゃな・・・) アダム「覚悟せぇや・・・オラァ!!」 俺「おおおおッ!!」 ギィン! その一方、宮藤は。 芳佳「どうしても、戦わなくちゃいけないんですか・・・?」 イヴ「あなた方が退いてくれるならば、戦う必要などありません。」 芳佳「私たち、その先にどうしても行かなきゃいけないんです。お願いです、私、できればあなたと戦いたくない・・・」 イヴ「退けば、あなた方は滅びを止めようと邪魔をする。滅びは確かに避けることは不可能。ですが、あなた方によって止められてしまうという可能性も無きにしも非ず。」 イヴ「芽は、早いうちに摘まねばなりません。あなた方がこの先へ行くというのなら、私たちはそれを全力で止めます。」 芳佳「どうして・・・どうしてそこまでして、この世界を滅ぼそうとするんですか!?」 イヴ「あなたに言っても仕方のないことです。焔よ、『アギラオ』。」 ボウッ、と火の玉がイヴの横に出現し、宮藤へと飛んでゆく。 芳佳「うっ!」 瞬時にシールドを展開。迫っていた火炎はシールドに接触すると、爆ぜ、消える。 イヴ「あなたも私たちと同じネウロイの力を持つというのに・・・なぜ滅びを受け入れようとしないのですか?」 芳佳「生きたいからです・・・これからも、この先もずっとずっと生き続けて、みんなと一緒にまた笑いたいから・・・だから、諦められないんです。絶対に。」 イヴ「笑顔の為だけに戦うと?生きることはただ苦しいだけだというのに。」 芳佳「生きることは、確かに苦しいかもしれないです・・・でも、その分、喜びもたくさんあります。生きているときに感じれる喜びは、きっと、どんなことよりも素敵なことだと思います。」 芳佳「私は、そんな喜びをこれからも感じたい・・・みんなと分かち合いたい・・・だから、それを守るために戦うんです。」 イヴ「なら、生を享受している間に喜びを感じられなかった私は、どうなるというのですか・・・?無駄な生だったというのですか・・・?」 芳佳「無駄な命なんて、一つもないです。あなたにもきっと、喜びを感じられる時が・・・」 それから、数秒の間が空く。 イヴ「・・・そんなの・・・そんなの綺麗事よ!!」 芳佳「!!」 突然イヴの口調が一変し、芳佳は驚く。 イヴ「ネウロイのせいで、目の前でお父さんもお母さんも死んだ・・・孤児院でできた友達も、みんな、実験に利用されて・・・みんな・・・みんな・・・」 イヴ「いつもそう・・・私にあるのは苦しいことだけ・・・喜びなんて一度もなかった・・・喜びを感じる前に、全て奪われて・・・いつの間にか私自身、嫌いだったはずのネウロイになってた・・・」 先ほどとは違い、彼女の目には明確な生気が宿っている。 イヴ「分かる・・・?あなたに、この苦しみが・・・」 芳佳「・・・分からないです。私は、あなたじゃないから・・・でも、これだけは言えます。あなたは、ネウロイなんかじゃない。」 イヴ「馬鹿言わないで・・・これを見てわからないの?このストライカーの模様。赤くなった目。私は、ネウロイなのよ・・・」 芳佳「違います。それなら私だってネウロイのはずです。あなたと同じようにストライカーに模様が入るし、目だって赤くなる。でも、私は自分をネウロイだなんて思いません。」 芳佳「ネウロイには感情がありません。でも、私には感情があります。みんなと笑ったり、泣いたりできる・・・あなただってそう。今みたいにそうやって、苦しんだり、悲しんだりすることができる。」 芳佳「だから、ネウロイみたいに全部壊そうとしなくたっていいんです。幸せや喜びは、この先になれば必ず、あなたにもある筈だから・・・」 イヴ「・・・ふ・・・フフフフ・・・あはははははは!!」 突然、狂ったように笑い始めるイヴ。 イヴ「・・・やはり、私とあなたはわずか程も交わってはいない・・・語るだけ無駄です。やはりここで消えてもらいます。」 そう言うや否やイヴが宮藤へと肉薄。腰に据えられたナイフを引き抜き、宮藤へと斬りかかる。 宮藤も瞬時に反応し、背中に帯刀していた烈風丸を抜刀。ナイフを受け止める。 芳佳「どうしても、戦わなきゃいけないんですか・・・」 イヴ「もう、遅いのです。なにもかも。」 ♪Heartful cry 先ほど見せた人間らしい感情。まだ、間に合う。ここで彼女を止めれば、まだ彼女を助けることが・・・宮藤は、覚悟を決めた。 芳佳「・・・あなたは、私が助けます!!」 ---第502統合戦闘航空団航空母艦 甲板--- ここは、502のメンバーが乗り込んでいる航空母艦。彼女たちも、今行われている戦いを見守っていた。 管野「・・・・・」 伯爵「どうしたんだい、ナオちゃん?随分と怖い顔だけど。」 管野「あいつ、あのままだと危ない。」 ニパ「あいつ・・・?あの、宮藤って子か?」 宮藤の存在は、他の戦闘団にも噂がいきわたり、すでに多くの者が宮藤のことを知っていた。俺についても同様であった。 管野「ああ。あいつ、剣の振りがなってない。あの男の方は、刀を当るか当たらないかのギリギリのとこで刃を峰に返してる。たぶん、相手を殺さずに倒そうとしてるんだ。」 管野「でも、宮藤の方は峰に返す瞬間がバレバレだ。それに、刀の振りが少し遅い。その証拠に、さっきから相手に避けられてばっかだ。」 ぶっきらぼうな面構えで腕を組みながら自らの考察を述べるこの少女、管野直枝。宮藤たちと同じ、扶桑出身のウィッチであり、ジャイアントキリングを好むピュアファイターである。 その隣にいるスオムス空軍の軍服を着た、エイラの親友でもあるこの少女は、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン。愛称は『ニパ』。 そして、菅野の後ろで、彼女の右肩に手を置きながらもう片方の手で双眼鏡を構え、上空の様子を見守る、どこか紳士的な雰囲気を醸し出しているこの少女。 かつてのエーリカの長機であり、バルクホルンたちとも面識があるカールスラントのベテランウィッチ。ヴァルトルート・クルピンスキー。彼女はその独特の雰囲気から、『伯爵』とあだ名されている。 ジョゼ「ぜ・・・全然わからないです・・・」 下原「私も・・・そこまで見えないよ・・・」 そう語るこの二人。片方はガリア出身の、この部隊の数少ない常識人であるジョーゼット・ルマール。愛称を『ジョゼ』。 その隣にいるうさみみを生やした扶桑人の少女は、下原定子。彼女は固有魔法に遠距離視と夜間視を持っており、それによって上空の様子をを見つめていた。 管野「・・・助けに行く。」 サーシャ「だ、ダメです!何を言ってるんですか!!」 制止するのはアレクサンドラ・I・ポクルイーシキン。愛称を『サーシャ』と言い、オラーシャ出身のこの部隊の戦闘隊長だ。 伯爵「止めてあげないでくれるかな、熊さん。こうなるとナオちゃんが止まらないの、知ってるでしょ?」 ロスマン「ちょっと!あんたまで何言ってんのよニセ伯爵!!」 ピシッ!と指導棒を伯爵に突き立て反駁する、銀髪で小柄なこの少女は、長年伯爵の戦友として肩を並べてきたカールスラントのウィッチ。エディータ・ロスマン。 伯爵「おやおや、怖い先生だ。」 サーシャ「ラル少佐ぁ・・・」 ラル「ん?ああ、いいんじゃないか?行かせてやれば。」 軽口でそう返す、この部隊の司令であるグンドュラ・ラル。彼女もカールスラント出身である。 ラル「ただし、ストライカーは壊さないでくれ。それが条件だ。あと、必ず戻って来るように。」 さばさばとしていながら、言葉からはどことなく重みを感じる。菅野はその言葉に力強く頷く。 サーシャ「もう・・・ここの人たちは・・・はあぁ…」 下原「行っちゃうんですか、管野さん・・・?」 管野「あいつだって、オレたちの仲間だろ。助けたいって思うのは当然じゃないのか?」 ニパ「仲間、か・・・そうだよな。」 伯爵「今日のナオちゃん、いつも以上にカッコいいね。うん、そういうところも好きだな、ボクは。」 ロスマン「なんの話しをしてるのよ、このニセ伯爵は・・・」 管野「とにかく、行くからな。」 ラル「ああそれと、落ちたらサメがいるかもしれないから、注意するように。」 サーシャ「そっちの心配ですか!?」 ジョゼ「気を付けてくださいね・・・」 管野「うん。行ってくる。」 ---北海上空--- 繰り返される斬撃の応酬。やがて二人は二匹の立ち上る昇竜の如く上昇をかけながら切り結ぶ。 散々打ち合った末、再び互いに距離を取る。 フッ 俺「!」ヴン ふと相手の姿が消える。すかさず俺は魔導針を発動させた。 俺「そこだッ!!」ヒュン ズパッ 俺「痛っ・・・」 新たに腕に刻まれた傷。 先ほどから相手が繰り返す、目の前から消える得体のしれない能力に翻弄され、俺は他の場所にも多くの傷を負っていた。 しかし、 アダム「どうやって・・・分かったんや・・・?」 消えていたはずの相手が姿を現し、脇腹を抑えている。どうやら俺の振りぬいた刀が当たったようだ。 俺が相手の問いに返すように、俺が眼鏡のつるをくいっと持ち上げる。黒目だった俺の瞳は、メガネの抑制が外れた途端、藤色を湛え始める。 アダム「ちっ・・・魔眼か。」 魔眼は、相手のステルス能力を見破ることができる唯一の対抗手段であった。 魔導針により相手の位置を捉え、魔眼により、相手の動きを見切る。俺は自信の固有魔法をフルに活用し、敵の能力を看破した。 だが、その考えに至るまでに負った傷の量はあまりにも多すぎた。 俺の意識が、少しばかり薄れ始めていたのだ。 ザクッ! 俺「グぅッ!?」 その一瞬の隙を突かれ、一気に距離を詰められた。俺の右肩は相手の刃によって貫かれる。 アダム「なんや、動きにぶっとるんやないか?オラァッ!!」グッ! 俺「ぐあッッ!!!??」 より深くへとねじこまれる刃。激痛が全身を襲い、顔には苦悶の表情が浮かび、瞳からは意思に反して涙が零れる。 穿たれた傷口から血が刃を伝って滴り、むせ返ると同時に口許からも血液が飛び散る。 インカムから誰かの声が聞こえたが、痛みのせいでそちらに気を配る余裕がなかった。 アダム「なぁ、ええ加減本気だせや。まだおるんやろ、『獣』が。」 俺「あいにく・・・はぁ・・・はぁ・・・俺が飼ってる獣は『淫獣』って名前のむっつりスケベだけっス・・・狂暴なのは余所をあたってください・・・」 アダム「フカシこいとる場合かワレ。このままやと死ぬで?助けでも呼んだらどうや?」 アダム「あぁ、アカンか。せやろな、ろくに戦う覚悟もあらへん連中やもんな。ったく、そんな覚悟もあらへんでよく軍人なんぞやっとるなホンマに。」 俺「・・・取り消せ・・・・・」 アダム「あ゛ぁ?」 俺「今の言葉、取り消せって言ったんだよ・・・!!」グッ 右肩を貫く刃を、左の手で握る俺。 アダム「ワレ、今の立場分かって・・・!?」 アダム(動かへん・・・どういうこっちゃ・・・) 動かそうにも、刃は微動だにしない。 俺「覚悟がない・・・?何も知らないくせに、勝手なこと言うなよ・・・」 アダム「なんや急に?」 俺「みんなそれぞれ覚悟をもってここまで来たんだ。全て終わるかもしれない・・・それでも生きたいから・・・かなえたい夢や、信念があるから・・・抗う覚悟をきめてここに来たんだ。」 俺「むしろ覚悟がないのは、生きることをやめようとしてるアンタとあのイヴって人だ・・・アンタらがやってるのは、単なる『逃げ』だろ・・・違うか・・・?」 アダム「おい。イヴを愚弄するような言葉吐きおったら殺す言うたやろ。ホンマシバき倒すぞ?」ギロッ 俺「ぬ・・・グゥ・・・ああああああああッ!!」ズボッ 刃を握っていた手に渾身の力を籠め、引き抜く。 俺「はぁ・・・はぁ・・・俺には、分からない・・・なんで、そこまでしてあのイヴって人に尽くすんだ・・・どうして全部滅ぼそうとするんだ・・・」 アダム「・・・お前には関係あらへん。オレは、イヴとやったらいくらでも不幸になったる。その先がたとえ地獄だとしても、オレはイヴの側に居続ける。そう決めたんや。」 アダム「他人のお前にとやかく言われる筋合いは・・・ない・・・ゴフッ・・・」 突然、男の口から赤い液体が吐き出される。それは紛れもなく血であった。 俺「!?」 アダム「ハァ・・・ハァ・・・糞ッたれ・・・もう時間があらへん・・・」 俺「時間・・・?どういう事っスか・・・?」 アダム「見ての通りや・・・無理やりネウロイの力埋め込まれて、今更体が拒絶しとる。イヴも同じ・・・どちらにせよオレらは近いうちに死ぬ・・・」 気づけば、相手の刀がネウロイ化を起こしている。次第に浸食され、体がそれに対して拒絶を行っていた。 アダム「決着・・・つけようや・・・はよせんと、つく前に死んで・・・ゲホッ!」 むせ返るたびに、男の口からは血飛沫が飛び散る。 俺「・・・・・」スゥ…キン! 俺は帯から鞘を抜き、刀を手に持った鞘へと納める。 この男の戦う真の理由。それは自分を満たす為ではなく、全て、あの少女の望みを叶えるためであった。 アダム「なに・・・剣しまっとんねや・・・ゴッホゴホ!!」 俺「これが、俺の戦い方っスから・・・」チキッ 自分にも、愛する少女がいる。腕に巻きつけたこのリボンを受け取った少女。その少女は世界の安寧を願い、これからもこの世界で生き続けたいと願っている。 俺も譲るわけにはいかない。俺は腕に巻いたリボンを一度握りしめ、静かに目を閉じる。 俺「俺にも、守りたい人が・・・守りたい人たちがいるんだ・・・今ここで斃れる訳にはいかない・・・アンタを越えて、その先へ進む・・・!」カッ 見開かれた瞳から発せられる威圧。それを相手へと送りつけながら、ゆっくりと姿勢を少しかがめ、抜刀術の構えをとる。 アダム「そうこななぁ・・・去ねやぁぁぁ!!」 俺「・・・おおおオオォォォォォォッ!!!」 片方は滅びの明日を願う少女のため。もう片方は平和で穏やかな明日を願う少女のため。互いの愛する者のため、それぞれの思いがぶつかり合う。 その一方で、宮藤は・・・ 俺の右肩が刀で貫かれる少し前。 芳佳「やあぁ!!」ブゥン! イヴ「それで攻撃しているつもりですか?」ヒラリ 峰打ちを狙うも、相手の不可解なベクトルの動きにより躱されてしまう。 その時、 俺≪ぐあッッ!!!??≫ インカムから俺の悲鳴が聞こえる。右肩を貫かれたのだ。 芳佳「俺さん!!」 宮藤が俺のいる方角へ振り返る。遠目だが、俺を何かが貫いているのがわかる。 ?≪よそ見するな!!宮藤!!≫ 芳佳「え?」 背後を振り返る。イヴがすでに詠唱を終え目の前に魔法陣を展開していた。宮藤の背に冷たい汗が流れる。 イヴ「『トリスアギ・・・』」 発動される魔術の名を言いかけたその時、 バキィ! イヴ「!!」 イヴは何者かに殴り飛ばされた。 芳佳「あ・・・あなたは・・・」 管野「管野一番、推参。」 そう吐き捨てた菅野はなぐりつけた拳にフッと息を吹きかける。 芳佳「あ、あの・・・」 管野「馬鹿やろう!!」 芳佳「え・・・」 耳を劈くような、菅野の怒号。 管野「どうして振り返ったんだ!?死ぬ気か!!」 芳佳「だ・・・だって、俺さんが・・・」 管野「だってもどうしてもない!!お前が死んだら元も子もないだろう!!」 芳佳「! ・・・」 伯爵≪ザザッ・・・おしゃべり中失礼するけど、ナオちゃん、相手を見た方がいい。≫ 管野がインカムからの伯爵の言葉通り、相手の顔を見る。 イヴ「何故・・・邪魔をするのですか・・・?」 管野「お前が仲間を傷つけようとしたからだ。それ以外に理由はない。」 イヴ「仲間・・・下らない。そんな綺麗事はもう聞き飽きた・・・」 管野「下らなくなんかない。個人の不可能は、仲間が変えてくれる。孤独を選んだお前はそれを知らない。だから綺麗事に聞こえるんだ。」 イヴ「うるさい・・・うるさいうるさいうるさい!!」 頭を抱え頭を振るイヴ。 イヴ「・・・もういい・・・ここで、全部消す・・・」バッ 手を開いたまま両手を前に突出す。次第に手のひらに赤いエネルギーが収束しはじめる。 エイラ≪ザザッ・・・まずい・・・逃げロ!宮藤!!≫ エイラの固有魔法が、目前に迫る脅威をいち早く察知した。 エイラ≪ビームだ!!それも、すごく強力な!!!≫ エイラの脳裏には、宮藤たちを焼き尽くし、海上の母艦や駆逐艦すらもすべて巻き込み破壊しつくす、赤い極太の光軸が放たれるビジョンが鮮明に映し出されていた。 しかし、宮藤は逃げなかった。自分が避ければ、どちらにせよ仲間に危険が及ぶ。 管野「どうする、宮藤?」 芳佳「・・・あなたは、私の後ろにいてください。」 管野「どうするつもりだ。」 芳佳「守ります。みんなを。だから、力を貸してください。」 管野「・・・もちろんだ。」 イヴ「消えろおおおぉぉ!!!」ビシュウウウウゥゥゥ!! 収束された膨大なエネルギーの束が宮藤たちに襲い掛かる。 ・・・ ・・・ ・・・ アダム「破亜亜あああぁぁぁッ!!」 俺「おおおォォォォォッッ!!!」シャン! それと並行して、二人の男の雌雄が決しようとしていた。 抜刀術。 相手を座して待ち、迎え撃つ一撃必殺の対人剣術。相手は、それを知っていた。抜刀術が『一撃必殺』の剣術であることを。 剣気一閃。電光石火の速さで鞘から抜き打たれる刃。剣速はすでに達人の域を逸しており、常人ならば見切ることはほぼ不可能。 しかし、相手はその更に一手先を読んでいた。あらかじめ間合いを見切られ躱されたのだ。 刃は相手に届くことなく、ただ虚空を一閃する。 アダム(躱した!今や!!)ヒュン! 後方へと瞬時に退き、すぐさま上段に構えなおし、 アダム「終いやあああぁぁぁ!!」 片手で唐竹に刃を振り下ろす。が、 グキィッ!! アダム「ぬあッ!!?」 衝撃。 俺の抜刀術は『一撃』ではなかった。 ニ撃目。もう片方の手に、逆手に握られた鞘が相手の刃を握っていた腕をへし折った。腕から抜け落ちた刃は、海へと落ちてゆく。 これこそが、坂本と共に編み出した二段構えの抜刀術。 通常の抜刀術は踏込みを行う必要がある。しかしここは空中。踏み込む地面など、どこにもありはしない。 そのため、鞘から引き抜かれた刃の威力は通常の約半分。そのための二撃目。一撃目の刀を振りぬいた勢いを利用し、鞘を相手へと叩きつける。 一刀目の「爪」を躱そうとも、二刀目の「牙」が相手に襲い掛かる。相手が躱す術はほとんど無いに等しかった。 俺はすかさず刀を納刀。納刀した鞘で相手の顎を打ち上げ、動きを封じ、柄で腹の急所を打つ。 相手の意識はそこで手放された。俺はすかさず気を失ったアダムを抱える。 俺「ふぅ・・・!?」 しかし、溜息をつくのもつかの間、網膜に強烈な光が焼き付いた。気づけば宮藤たちに、赤い破滅の光が襲い掛かっていた。 ・・・ ・・・ ・・・ 芳佳「烈ッ風ゥー斬ッ!!」 烈風丸に赤い魔力が纏われる。それは瞬く間に巨大化。膨大な魔力を纏った刃をビームに対して振り下ろす。 瞬間、カッ!と眩い閃光があたりを一瞬包み込んだ。 イヴ「!?・・・そん・・・な・・・」 次に目蓋を見開いた時には、ビームは掻き消え、傷一つ負っていない宮藤と、連合軍の艦隊が映った。 イヴ「ケホッ!」ピシャッ… 喀血が始まった。もう自分も長くない、そんな思考を巡らせていると、 ブロロロロロロ ストライカーの駆動音が耳に入り、音のする方へ視線を向ける。 下方から管野が拳を構えながら迫っている。朦朧とする意識の中、何とか両手を構え、再びビームを放とうとするが、 ゴスッ! 管野の拳が、イヴの腹の急所を抉るが早かった。イヴも、その場で意識を手放す。すぐさま管野が拾い上げる。 芳佳「管野さん!」 管野「手、貸してくれ。一人じゃ重い。」 ちょっぴりぶっきらぼうな表情の管野に宮藤は笑みを返し、二人は母艦へと帰還する。 ようやくついた決着。結局、誰も失うことなくグレゴリを退けることができた。 俺(よかった・・・無事みたいだ・・・) 二人の安否を確認した俺も、進路を皆の待つ母艦へと向けた。 その時、 アダム「・・・勝たな・・・勝たな、意味・・・あらへんのや・・・」カチャッ… 俺「っ!!」 俺の腹部に突き付けられた銃口。男の懐には、奥の手であるハンドガンが隠されていた。抱えられたこの男は最後の執念を振り絞り、その引き金を引く。 銃口に小さな赤い光が溜りはじめる。この男は、ハンドガンを介してのみビームを放つことができたのだ。 そして、それに俺が気づいた時には時すでに遅く、 ビシュッ! 俺の腹を一筋の細い光が貫いた。 ---航空母艦『ライオン』滑走路--- 先に帰還した宮藤を、501の全員が健闘をたたえる。管野は気絶したイヴを運び終えた後すぐに仲間の元へと戻って行った。 リーネ「よかった・・・よかったよぉ・・・芳佳ちゃん・・・」ギュッ 芳佳「うぅ・・・ちょっと苦しいよリーネちゃん・・・(でも幸せかも・・・///)」 ルッキーニ「あ!あれ!」 ルッキーニの指を指す方角から、ゆっくりと俺が降下し、着地した。俺は気絶しているアダムをゆっくりと降ろす。 すぐさまアダムは船員達により拘束、連行されていった。 サーニャ「俺・・・?」 体のあちこちに傷跡を作り、半ば満身創痍で戻ってきた俺。 よく見ると、切り傷とは別に、腹部に不自然な焦げ跡が残っている。その場所は深く穿たれ、留めなく血が流れている。 焦げ跡は、ビームが焼きついた跡であった。 俺「ゴフッ・・・」ドサッ 喀血。滑走路に赤い斑点がついたかと思うと、俺はそのまま地面へ倒れこんだ。同時にストライカーが足から外れる。 エイラ「!!」 サーニャ「俺!!」 サーニャは急いで俺へと駆け寄り、俺を抱え上げる。 俺「はは・・・ただいまっス・・・」ニコ サーニャ「嫌・・・どうして・・・死なないで・・・俺・・・」 俺「大・・・丈夫・・・ハァ・・・ハァ・・・俺は・・・死なないっスよ・・・約束を・・・守る・・・までは・・・ゲホッゲホッ!!」 途切れ途切れに、消え入りそうな声で懸命に言葉を返す。 サーニャ「でも・・・でも・・・グスッ・・・」 俺「心配・・・ハァ・・・いらないっス・・・それに俺、約束・・・破ったこと・・・ありますか・・・?」 サーニャ「うん・・・グスッ・・・」 俺「ハァ・・・ハァ・・・ありゃ・・・でも・・・二人との約束は・・・絶対に・・・守るっス・・・誓います・・・だから、お願いっス・・・泣かないで・・・ください・・・」 サーニャの頬を零れ落ちた涙を、震える俺の指がそっと拭う。 芳佳「俺さん!!」 宮藤が俺の元へと駆け寄り、使い魔を発現させ、治癒魔法をかけるために両手を俺へと翳す。が、俺は手でそれを制止し、首を横に振る。 芳佳「なんで・・・」 俺「こんな・・・ところで・・・ハァ・・・ハァ・・・力を・・・使っちゃいけない・・・ハァ・・・この力は・・・この後のために・・・取っておいてください・・・」 芳佳「でも、このままじゃ俺さんが・・・」 俺「俺は・・・平気っス・・・前だって・・・ネウロイのビームくらっても・・・ちゃんと・・・生きてたんスから・・・」 坂本「・・・俺の言うとおりだ。お前の力は、この後のためにとっておけ。宮藤。」 芳佳「坂本さんまで何言ってるんですか!?俺さんが死んじゃうかもしれな・・・」 坂本「宮藤!!」 芳佳「!!」 ただ無言で宮藤に視線を送る坂本。威圧にも似たそれに、宮藤は押し黙ってしまった。 俺「・・・エイラ・・・・・」 不意に、俺がエイラの名を呼ぶ。 エイラ「なんダヨ・・・グスッ・・・」 俺「エイラまで・・・泣いてるんスか・・・?」 エイラ「な、泣いてない!」ゴシゴシ 俺「よかった・・・俺・・・ちょっと・・・休憩させてもらうっス・・・だから・・・サーニャを・・・守ってあげてください・・・」 エイラ「休憩って・・・ヤメロヨ・・・今から死ぬみたいじゃんカ・・・」 俺「だから・・・死なないっス・・・絶対に・・・もどります・・・もどって・・・サーニャも・・・エイラも・・・みんなを・・・守ります・・・だから、それまで・・・」 エイラ「言われなくても・・・私は絶対にサーニャを守る・・・」 俺「はは・・・そう・・・っスよね・・・」 エイラ「絶対・・・戻ってこいヨ・・・死んだら・・・許さないからナ・・・」 俺「はい・・・っス・・・おねがい・・・しま・・・」ガクッ サーニャ「俺・・・?俺・・・!俺!!」ユサユサ シャーリー「お、おい!早く止血しないと・・・」 ミーナ「救護班は!?どこ!?」 ペリーヌ「わたくしが参ります!!」タッタッタ エーリカが駆け寄り、俺の脈に指を当てる。 エーリカ「・・・大丈夫、失血のしすぎで気を失ったみたい・・・まだ生きてるよ。」 ゲルト「だがこのままでは・・・」 ルッキーニ「おれぇ・・・」ポロポロ 心配もつかの間、ペリーヌが要請した救護班が俺の元へ駆け寄る。失血による気絶だと救護隊員にエーリカは伝えた。 俺は直ちに担架に乗せられ、救護室へと運ばれていった。 サーニャ「俺・・・」 エイラ「・・・・・」 そんなことは意にも介さぬように、非情にも船は再び歩みを進める。決戦の場所、ネウロイの塔へと向かって。 本当の決戦は目前へと迫っていた。 続き→ペルソナ21 -ページ先頭へ
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地母神 LV15 ジゾウボサツ LV27 ??? LV36 ??? LV44 ??? LV57 ??? LV65 ??? LV85 ??? LV15 ジゾウボサツ お地蔵様。苦悩の人々を大慈悲で包み込み、救うとされる。 「初期」 HP(生命力)+40 MP(魔力)+75 STR(力)+5 VIT(耐久力)+10 TEC(技術力)+5 AGL(素早さ)+5 LUK(運)+100 MDF(魔法防御力)+30 MAK(魔法威力)+15 「同調」 HP(生命力)+60 MP(魔力)+120 STR(力)+10 VIT(耐久力)+20 TEC(技術力)+10 AGL(素早さ)+10 LUK(運)+150 MDF(魔法防御力)+50 MAK(魔法威力)+30 「最終覚醒」 HP(生命力)+80 MP(魔力)+150 STR(力)+15 VIT(耐久力)+30 TEC(技術力)+20 AGL(素早さ)+20 LUK(運)+200 MDF(魔法防御力)+80 MAK(魔法威力)+45 <装着相性> 全員と最高相性 <ペルソナを装着するだけで使える能力> 善属性、知能の低いアクマとの交渉が有利になる 「初期」ドルミナー 敵一体を睡眠状態にする。 消費MP5 「同調」幸運の導き 味方一人の成功率を+10%上げる 消費MP5 <ペルソナ降臨で使える能力> 「初期」ハピルマ 敵一体を幸福状態にする。消費MP5 「同調」ディア 味方一体のHPをD10+(LUK÷10)回復。 消費MP5 「最終覚醒」地獄降(じごくおろし) 破魔属性で 敵全体にダメージ。3D10+魔法威力のダメージ。 消費MP25
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前ページゼロのペルソナ 正当なる虚無の担い手であるジョゼフの死、つまり完二たちがこの世界での役目を終えたということに他ならなかった。 ハルケギニアを訪れて、契約者との接吻から鋭い痛みを伴って刻まれたルーンは彼らの胸から消えてなくなっていた。 消えた印と開かれている扉。異世界から呼び出された使い魔たちは仲間たちと共に彼らの世界に帰るべきなのだろう。 実際にルーンが消えた今、完二も陽介もそしてクマも強い郷愁の念に駆られていた。 使い魔のルーンは主への忠誠のために過去いた場所への思い出などの感情を弱める働きをする。だから彼らは今、自分たちの世界へ強く惹かれている。 そうだというのに完二たちは銀色の扉をくぐることをためらった。 このまま扉をくぐってしまえば二度とこの世界を見ることはできない、ハルケギニアで出会った人々と、旅をしてきた仲間たちと二度と会えないという事実が彼らの決断を鈍らせている。 名残惜しそうにしている完二、陽介、クマを送り出したのは彼らのリーダーであった少年だ。彼は別れの挨拶の大切さをよく知っている。 「悪いな、相棒」 「スンマセン!恩に斬るッス!」 世界の力を持つ彼はワールド・ドアを維持することを約束すると完二と陽介はそれぞれルイズとタバサと共にアーハンブラ城へと戻っていった。 赤いカーディガンを羽織った長髪の少女――雪子はぽつりと言った。 「ねえ、巽くんや花村くんの挨拶しておきたい人ってどんな人かな」 「さあ」 流すように答えた口には薄い笑いが浮かんでいた。 ところで、と始めたのは直斗であった。 「クマくんはどうしてここにいるんですか?」 「ギクッ」 クマは会話に入ろうともせずに存在感を消すように立っていたのだが、いかんせんよく目立つキグルミ姿でそれは無理があった。 千枝とりせ、雪子は言っちゃったという顔をする。 「それは言っちゃダメだよ、直斗くん」 「そうそう」 「クマくん一人ぼっちなんだから」 雪子がそう言ったときクマは傷ついたのか「グサッ」とわざわざ口で言った。 実際、彼女らの言葉を間違いだと否定しきれないのがクマにはつらいところだった。 完二はシエスタ、陽介はイザベラに別れを言いに行っているのにクマには言うような相手がアーハンブラ城にはいないのだ。 「しどいクマ……いいもん!クマにはキュルケチャンがいるから!」 クマはキュルケに抱きついた。彼女は苦笑しながらよしよしとその頭をなでる。 クマはしばし撫でてもらい気持ちよさそうにしていた。しかし表情を曇らせてポツリと呟いた。 「でも……こうするのも最後なんだ……。使い魔のシルシも消えちゃったし……」 クマの言葉を聞いてクマを撫でるキュルケの手が止まる。そのまま数瞬の時が流れてからキュルケはその手でクマを押すようについた。 「あいて」 クマはその丸い体でボールのようにすってんころりんと倒れてしまう。 「な、ナニするんですかーキュルケチャン!あー、起き上がれないクマ!」 「あなたがらしくもなく、さみしそうにするのが悪いのよ」 「でもでも……」 ほら、と言ってキュルケは両手を伸ばしてクマの手をとった。少女の手を借りてクマは立ち上がった。 「例えルーンが消えてもあなたとわたしが過ごした時は消えないし、たとえ別々の世界にいてもわたしたちの関係は変わらないわ」 クマは上目づかいに不安といくらかの期待を込めながら尋ねた。 「わたしたちの関係ってナンですか……?」 「使い魔とご主人さま」 ガックリとクマは肩を落とす。もっと色気のある答えを期待していたのだが、それが打ち砕かれたと消沈する。 「クマ使い魔止まりですか……オ?」 クマの頬にキュルケの手が添えられる。そしてキュルケは唇をクマに重ね合わせた。 それを見たギャラリーたちは驚き、言葉にならない声を出す。 唇を離した後もボケっとしていたクマにキュルケが言った。 「わたしの大切な使い魔……それじゃ不満かしら?」 クマははっと気を取り戻した。 「と、とんでもないです!な、なんてゆーかうふふふふ」 クマは喋っている途中に先ほどの幸福を思い出す。 キュルケもふふっと笑う。それはとても魅力的で優しい笑みだった。 クマの胸に痛みと共にルーンが刻まれることはない。 代わりに彼の胸には確かな絆と幸福感があった。 アーハンブラ城のある一室。一つの机を三人が取り囲んでいた。 「そう……父上が……」 陽介とタバサから事の顛末を聞かされたイザベラは呟いた。 「なんとなくそうなるんじゃないかって思ってたんだ……」 「イザベラ……」 陽介はイザベラが落ち込んでいないかと心配する。たとえあのジョゼフといえでイザベラにとってはたった一人の父親だったのだ。 「大丈夫だよ、ショックだけどわたしにはタバサやおばさまがいるから。家族がいるから」 そう言ってイザベラは心配する陽介に少し笑ってみせた。疲れたようであるが決して作り笑いではない。 「でもヨースケまでいなくなっちゃうのは寂しいわ……」 「いきなりで悪りいな」 イザベラはゆっくりと首を振った。 「仕方ないよ。あんたは別の世界から来たんだろう?」 「信じてくれてたんだ?」 「信じるって言ったじゃない」 イザベラは苦笑し、陽介はそうだけど、と口ごもり気味に答えた。 「こっちに残る気はないのかい?あんたがその気なら女王の側近になれるよ?」 イザベラは陽介に残留の意思を尋ねた。 彼が望むならばガリア国の重鎮としての地位も用意できるうえ、彼はこの世界の救世主なのだ。 その気があればあらゆる富も名声も手に入れられるだろう。 「それ、すっげえ魅力的だな。元の世界に戻ったらそんなエラくなれるチャンスはねーな」 でも、と陽介は続ける。 「俺んちはただのスーパーのチェーン店……ってわかんねーか。 親父が大きな店の支店長くらいで、俺の住んでたのは何もないのがいいところみたいな田舎なんだ。 そりゃもうビックリするくらい田舎でな。でもな……俺はそんな町が大好きなんだ。 昔はキライだったんだけどな。今は早くあの町に帰りたくて仕方がねー」 陽介の胸の中には望郷の念が強くうずいていた。ルーンが消えたことにより彼は今までないほど故郷に恋焦がれている。 陽介は隣に座っているタバサに顔を向ける。彼女はイザベラに説明を終えてから黙ってうつむいたままになっていた。 「なんていうか……だから悪いなタバサ。俺帰らなきゃいけねーんだ。本当はもっと一緒にいてやりてーんだけど……」 タバサが顔を上げたとき陽介は続けるはずの言葉を失った。対面に座っているイザベラも目を点にしている。 彼らは信じられないものを見たようにタバサの顔を見つめていた。 タバサの顔に浮かんでいるもの、それは笑顔であった。歳相応の屈託のない笑顔のままタバサは喋り続ける。 「心配しないで、ヨースケ。あなたにいっぱい勇気をもらったから。 お母様もイザベラもいるから大丈夫。全部あなたのおかげ。それにわたし…笑えるようになったから」 陽介は驚愕から意識を取り戻し、そっかと呟いた。 「なら安心だな」 うんとタバサは頷く。 「あと、やっぱ笑った方が全然かわいいと思うぜ」 タバサは笑ったままだったが少し頬の朱が強くなる。 「なんだったら昔みたいに髪長くしたらどう?」 イザベラがタバサに提案した。陽介もそれはいいんじゃないかと同調するとタバサも少し思案顔をした。 2人が言うならばそれも悪くないと思っている。 使い魔のルーンが消えても陽介がこの世界に来てからタバサや出会った人々との間に築いた絆は変わらない。 完二はルイズが手綱を取ったペガサスで城に戻ってきてからシエスタを探して歩いていた。 どこにいるかはわからないので、メイドがいそうなところを探す。とりあえずは食堂に向かう。 そして食堂に着くまでの道のりでもう一振り挨拶をしておくモノに語りかける。 「おい、デルフ」 「なんでえ相棒」 完二の肩にかけられた剣がカチャカチャと答える。 「いや、ベツになんかあるってワケじゃねーけどよ。オマエともこれで最後なんだな」 「そうだなぁ……」 一人と一振りの間に沈黙が流れる。沈黙を破ったのは完二だ。 「これからどうすんだ?」 「どーすっかなぁ。もう役目は終わっちまったし。 もしかしてお前さんからルーンが消えたみたいに俺の意識も消えるんじゃねーかと思ったけど、んなこたあねーみてーだな」 デルフリンガーはぼんやりとしたように言った。 そんなデルフに完二は歩みを止めないまま喋った。 「役目が終わったつーならもう自由っつーことだろ?ならデルフがこれから自分で決めればいいんじゃねーのか」 「おっ、カンジにしてはなかなか気の利いたこと言うじゃねーか」 「オレにしてはってなんだ!してはって!」 「でもなあ…ま、とりあえずは嬢ちゃんちにでも居るとするさ」 「いいのかよ?」 「でーじょーぶだろ。始祖が作った剣だから聖剣なんて呼ばれて手入れだってちゃんとしてくれるかもな」 「んだそりゃ……」 完二は呆れた風だった。 「ま、6000年も待ったんだ。しばらく考えさせてもらうさ」 デルフリンガーとの会話が一段落ついたとき、完二は廊下でばったりとシエスタに会った。 シエスタは驚いたように完二を見つめていた。 完二も心の準備が出来ていなかったため驚いていた。 「シ、シエスタ…よ、よう……?」 完二の気の利かない挨拶を無視するようにシエスタは跳びつくように抱きついてきた。完二は顔を真っ赤にしてさらに慌てる。 「お、おお!?」 「戦いがあったって……ずっと前で戦っている人たちがいるって聞いて……カンジさんたちだと思って……無事で本当によかった……」 シエスタは完二の胸に顔を押し付けるように泣いていた。自分がどれほど心配をかけたかに気付いて胸が痛くなった。 「悪りい……。心配かけたみてえだな」 シエスタは首をぶんぶんと振った。 そして少しの時間の間、シエスタは顔を押し付けたままだった。それからシエスタは顔を完二の胸からはがした。 目が赤くなっていて、目からあごまでのラインが濡れていた。 非常に心配されていることがわかり、完二はそもそもシエスタに会いに来た理由を言い出しづらくなる。 だが言わないわけにはいかない。 「シエスタ、実はオレ帰るんだ」 「えっ?」 シエスタは疑問符を浮かべた。 「信じらんねーと思うけど、オレはもともと別の世界に住んでて、今から帰らねーといけねーんだ。たぶんもう会えねえ」 稚拙な説明だと自分でも思ったが、自分の言葉で説明しないといけないと完二は思った。 信用されるとは思っていなかったが、信用して欲しい。 「わかりました」 完二の予想に反し、シエスタは完二の期待通り信用してくれた。 あまりにもすんなりと信じてくれたため完二が戸惑ってしまう。 「んな、簡単に……」 「なんとなくカンジさんが普通じゃないって感じてて、別の世界から来たといわれた納得しちゃいました」 えへへと笑う。それから彼女はじっと完二を見た。 「そっか……。 んじゃあマルトーのおっさんや他のやつらにもヨロシク言っといてくれ。メシ美味かった、あんがとさんってな」 「はい、わかりました。その前に」 シエスタは完二に近寄って仰ぎ見る。 「高いな……カンジさんちょっとしゃがんでください」 「はっ?なんでだよ?」 「いいからいいから」 結局彼女に言われるままにカンジは膝を折る。 「目をつぶってください」 「ん?おお……」 よくわからないまま完二は目をつぶった。 それから完二の頬に何か柔らかいモノが触れる。 すぐにはそれが何かわからなかったが、直感的に悟り身を引きながら目を開ける。 先ほどまで完二の顔の近くにシエスタの顔があった。目をつぶる前よりもずっと近づいている。 彼女の顔はいくらか赤くなっていたが、完二の顔はそれよりもはるかに真っ赤だった。 「お、オマエ!ナニしたんだ!?」 シエスタは笑って答えた。 「諦めるために必要なことですよ」 「あ、諦めるって何をだ!?」 「もう、そんなこと女の子に言わせないで下さい」 それからシエスタは唇に指を当て、上目遣いに完二に言った。 「砂と汗の味でした……」 完二は口をパクパクとさせる。完二の代わりに彼の肩から掛けられた剣が笑い声を上げる。 「相棒、言われてんぞ!」 完二はシエスタに何も言えず、「るっせ!」と剣にだけ抗議した。 デルフリンガーはげらげらと笑い、シエスタもクスクスと笑っていた。 完二とシエスタは二人並んでアーハンブラ城の廊下を歩いていた。 シエスタが見送りをしたいと言ったからとりあえず馬を借りに行こうとしているのだ。 完二は先ほどの出来事が忘れられずに歩く姿さえぎこちなく顔も幾分赤いままだったが、シエスタはというと澄ましたものだった。 完二はその様子に、女という生き物の恐ろしさを感じずにはいられなかった。 とはいえ不快感を伴うものではなく、敵わないという思いになるものだったが。 なんとなくお互い喋らずに歩いているとちょうど反対側から誰かが歩いてきた。 長いピンク色の髪を歩調と同じリズムで揺らしているその姿はルイズであった。 ルイズと完二たちは互いに2歩か3歩ほどの距離をとって止まった。 ルイズは何かいいたげにモジモジとしている。何かを隠し持っているのか両手は背中に回されていた。 シエスタはその様子を見て何かを察したのか「お先に行かせてもらいます」と断りを入れてその場を離れていった。 シエスタがルイズにもあいさつをしていったあと、まだしばらくルイズは何かを躊躇していたが覚悟を決めた顔になり完二に歩み寄ってきた。 「これ、受け取りなさい!」 背に隠していたものを完二に突き出した。完二は言われたとおりに受け取って。そしてしげしげと見る。 「コイツぁ……」 それはあみぐるみだった。ぱっと見ではわからなかったが、ライオンであるようだ。 「最近なんかやってると思ったらこんなもん作ってたのか……」 既成品ではなく手作りであることは間違いなかった。 反対側の足の長さが不ぞろいであったり、中につめている綿の見えているところもある。 最近夜な夜な何かをしていると思っていたがこれを作っていたようだ。 「そうよ、悪い?」 なぜかルイズは唇を尖らせながら言う。 「いや、悪かねえよ。むしろコイツはイイと思うぜ、オレは」 そう言うとルイズの顔はパッと明るいものになる。 「えっ!ほ、本当……?」 「ウソなんて言わねえよ」 完二は手に持ったあみぐるみをしげしげと眺める。 たしかにバランスも悪いし、不出来なところも目に付くが、短い4本足と黄色い顔にこげ茶色の輪がついたその姿はどう見てもライオンであった。 ほんの一月前――いやそれより短かったか――ルイズは毛糸の塊を生産する以外できないような技術だったのだ。 目を見張る成長としかいいようがない。 「と、当然よ!このわたしが作ったんだから」 ルイズは腰に手を当てて胸をそる。威厳を出そうとしているようだが、顔はゆるみきり上機嫌であることは完二にも分かった。 それほど上機嫌なので、じゃあ前に作ったのはナンだよ。と質問するのはやめておくことにした。 ルイズは小さな胸をそらすのをやめて目を伏せがちに言った。 「あみぐるみを頑張って作ってたのも、なんかね……アンタがこうやって帰るってわかってたからなの」 完二はルイズの告白にキョトンとする。 「わかってたっつーと今日戦いが起こるってこととかもか?」 当然の質問だが、それにはルイズは静かに首を振る。 「本当になんとなく、あんたが近いうちにいなくなる……そう思ったの。わたしが虚無の使い手だからかしらね」 かもな。と完二は答える。 確かに近いうちに帰るとわかっていないと徹夜してまであみぐるみを作ったりしないだろう。 それにしても……と完二に別の疑問がわいてきた。 「どーしてあみぐるみなんだ?」 ルイズはもともと編み物は大の苦手であったはずだ。わざわざ苦手な贈り物をすることはないだろう。 もっともルイズが得意なものと言ったら乗馬くらいしか思い浮かばないが。 完二の素朴な質問にルイズは得意げな笑みを浮かべた。 「わたしが成長したってあんたに見せ付けるためよ。 魔法が使えるようになったってだけじゃない。あんたが来てからわたしは成長したつもりよ」 ルイズは完二の手にあるライオンのあみぐるみを撫でた。 「つまりこれがわたしの成長の証」 ルイズは自分によって作られたあみぐるみを愛おしそうに見つめた。 完二はルイズの言葉に強く共感した。いや共感以上であった。 以前渡したあみぐるみからルイズも自分にあみぐるみを作ろうとしただのだろうが、 彼も昔、成長したときにルイズだけでなく大切な人に自分の作ったあみぐるみを渡したことがあった。 自分を認めてくれて、何より自分に自分を認めさせてくれた大切な先輩で、大切な仲間。 ルイズにとって、自分がその人のような存在になれていると思うと完二は嬉しいと同時に少し照れくさかった。 完二は頬をぽりぽりとかいた。 「そだな……すんげー成長したぜ。最初に会った時はウルセーうえに、口だけだったしな」 「言い過ぎよ、このバカ」 ルイズは唇を尖らせて完二をたしなめる。ただその口調は柔らかい。 「本当はみんなでラグドリン湖に行けたらよかったんだけど」 グラン・トロワ宮殿の噴水の前で6人で交わした水の精霊に会いに行こうという約束は果たせない。 ただ、それが心残りであった。完二も忘れてはおらず、申し訳なさそうな顔を浮かべる。 「悪りぃな……」 「ううん」 ルイズは小さく首を振って謝ることはないと示す。 それから彼女は完二の目を見た。 「わたしは成長したから心配なんてしなくてもいいわよ。あんたがいなくなってもわたしは大丈夫だから」 強い言葉と強い意思、そして何よりも2人を繋ぐ強い絆を感じる。 どうやら完二が元の世界に帰るとき、心配しないように勇気付けてくれているようだ。 完二ははっと笑った。 「スゲー成長したっつっただろ。最初っから心配なんかしてねーよ」 ルイズは強くなった。強力な魔法が使えるようになったというだけではない。 彼女の心は強く成長している。完二はとっくにルイズのことを認めていた。 だが彼の想像とは違いなぜかルイズは不機嫌そうに頬を膨らませた。 「心配しなさいよ」 「はあ?心配すんなっつったのはテメーだろ?」 「それとこれとは別よ。使い魔はご主人さまの身を案じるものよ」 ルイズは指を立てて胸をそらしながら言った。 完二はタメ息をついた。 「意味わかんねーし、オメーまだオレを使い魔扱いしてんのかよ?」 「ルーンがなくなったからって使い魔じゃないと思ってるの? いい?そんなのがなくたってあんたはずーーっとわたしの使い魔なんだから」 やっぱり成長してねーんじゃ……。 と呆れたような気分が完二の頭の中に沸き起こる。しかしルイズの表情を見て完二は言葉につまる。 「わたしの使い魔なんだから特別よ。 たとえルーンがなくなっても別の世界に行ってもわたしたちの関係は変わったりしないんだから」 それは完二もはっとするような笑顔だった。 アーハンブラ城の東、ルイズたちが戦ったところに全員が集まっていた。シエスタとイザベラもいる。 完二たちの元いた世界たちの仲間はすでに扉をくぐっており、残っているのは完二たち3人以外ではワールド・ドアを開いている少年だけだった。 もう完二たちは世界扉を通って帰らなければならないのだ。 去っていく彼らに最後の別れの先頭を切ったのはシエスタだった。 「みなさんと過ごした日々は本当に楽しかったです。どうかご元気で」 そしてその胸に抱かれている剣もがちゃがちゃ音を立てて喋った。 「6000年の中で一番退屈しない一ヶ月だったぜ。元気でな」 次にアンリエッタ。 「あなたがたには感謝しなければいけないことがあります。 この世界のこともですが、わたし自身のことも。あなたがたがいなければ今のわたしはなかったでしょうから。 心から感謝しています」 そしてイザベラ。 「あんたたちがいなければきっとわたしは贅沢してバカしてただけだったんだろうね。 昔のわたしならそれでよかったと思ったのかもしれないけど、わたしは今がすごく好きだよ」 従姉にトンと背中を押されてタバサが喋り始める。 「わたしも今がすごく好きだから。みんなのおかげ。絶対に忘れない」 親友が話し終わってからキュルケが続く。 「あなたたちとの毎日はすごく楽しかったわ。忘れろなんて言われても忘れられないくらいにね」 最後にルイズ。 「わたしたちは仲間よ。絶対に忘れちゃダメなんだからね!」 完二たちは当然だというように答えた。 「当たり前だろ」 「クマ、ぜったい忘れない」 「忘れたくても密度濃すぎっから」 彼らは仲間なのだ。強い絆でつながれている。彼らの誰一人忘れることはないという強い確信があった。 灰色の髪をした少年が最後に確認する。 「もういいか」 みながこくりと頷いた。もう伝え残したことはない。 そしてこの世界で一ヶ月以上を過ごした完二、陽介、クマが順に扉を通っていった。 「ワルくなかったぜ、じゃーな」 「みんな元気でな」 「別の世界にいっても仲間クマ」 もう背中は押されたのだ。戸惑うことはない。 彼らは彼女たちとの絆を、笑顔を信じている 彼らは波打つ銀色の扉を通り、そして最後に扉をルイズと共に維持していた少年が通るとワールド・ドアこの世界から消えてしまった。 あとにはこの世界の住人だけが残された。 「行っちゃったわね……」 キュルケがポツリと言った。 「大丈夫」 タバサは確信を持ってそう言った。 「そうよ、大丈夫よ」 ルイズもわかっていた。それはキュルケも同様だった。 ハルケギニアは新しい局面を迎えた。 エルフの土地に隣接していた三種の魔物たちは姿を消し、東との強い交流が生まれるだろう。 そしてそれはエルフにとって人間たちとの戦いの後患がなくなったということでもある。 今、始祖の時代から存在した4つの血筋のうち二つは絶えて、4つの指輪は3つが正当な虚無の担い手と共に消滅し、始祖の使い魔も世界から姿を消した。 だがルイズたちに不安はなかった。 彼女たちの頼りになる使い魔たちはすでに自分たちの世界に帰ったが、彼女らと彼らとの間には印よりも言葉よりも確かな絆がある。 そしてそれはきっとこれからも彼女たちの行く先を示してくれるだろう。 こうして異世界の少女たちと少年たちの旅は完結する。 しかしたどり着いた彼女たちの新しい世界で、帰り着いた彼らの世界で人生は続いていく。 旅は終わらない。 前ページゼロのペルソナ
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LV 名前 物 火 氷 雷 風 光 闇 力 魔 耐 速 運 初期スキル 取得スキル 備考 9 グール 弱 無 弱 8 7 9 5 5 突撃ポイズマ スクカジャ(10)エイジング(11)毒串刺し(12)ラクンダ(13)毒成功率UP(14) 雪子姫の城熱気立つ大浴場 14 モコイ - 弱 無 - - - - 13 7 9 11 9 ソニックパンチヒステリービンタデカジャ バリアントダンス(15)激昂成功率UP(16)ソウルブレイク(18)衰弱成功率UP(19) 熱気立つ大浴場 24 マタドール - 弱 - - - - 反 17 10 17 25 11 マハムド電光石火デクンダ ムド成功率UP(26)暴れまくり(27)素早さの心得(29)光からの生還(30) 特出し劇場丸久座 36 サマエル 耐 無 弱 無 24 29 25 19 18 ムドオンマハタルンダポイズンミスト デクンダ(38)メギド(39)ムド成功率UP(40)光からの生還(41) ボイドクエスト 46 モト 無 弱 反 32 38 30 24 21 ムドオンデビルスマイルテンタラフー 光からの生還(48)亡者の嘆き(49)ムド成功率UP(50) 秘密結社改造ラボ 58 ホワイトライダー 無 弱 無 反 49 31 37 40 24 ムドオンハマオン アギダイン(60)真・氷結見切り(62)マハンマオン(63)マハムドオン(65)ハマ成功率UP(66)ムド成功率UP(67) 72 アリス - - - - - 弱 反 39 56 33 45 44 マハムドオンムド成功率UPデクンダ 光からの大生還(75)メギドラ(76)コンセントレイト(77)死んでくれる?(79) 特殊合体?継承不可スキル:死んでくれる? 78 マハカーラ 吸 反 無 58 38 57 49 39 アギダイン刹那五月雨撃チャージ コンセントレイト(80)マハラギダイン(82)マハムドオン(83)火炎ハイブースタ(84)ムド成功率UP(85) コミュ解禁ペルソナヒランヤスプレッド